落雁
「今まで黙っていてすまんな、弥刀。今回、司絡みでお前が巻き込まれた。告白するのは今しかないと思ったんだ」
「父さんは司があんな奴らとつるんでいるの、知ってたの??」
「知ってたよ。待て、弥刀。あいつらは、あんなんでも司の居場所だ。あいつらと居た時間を引っ括めて今の司だ」
「あいつら、京極を馬鹿にするような奴だぞ?!」
そう言うと、父さんは眉を寄せて溜め息をついた。
「…弥刀、今日はもう遅い。一旦寝ろ。俺も家に帰る」
父さんが笑いながら立ち上がった。
「いきなりこんな話をしてごめんな、明日また来る。無理をするんじゃないぞー」
いつも通り、明るく笑う父さんだ。
あたしは素直に笑えない。
部屋から出ていく父さんの背中を眺めながら、あたしは脳味噌をフル回転させた。
2年前から、司が当主になるのは決まってたってこと??
京極を馬鹿にするような奴とつるんでいる司を、父さんは認めるのか。
いやでも、司は悪い奴じゃない。それは分かる。
あたしは司を否定する理由なんてあるのか?
父さんの話が本当なら、司は当主にぴったりだ。
どこも非はない。
力量差は愕然としている。
あぁもう、本当によく分からない。
今日は父さんの言う通り、寝ることにしよう。
あたしは布団の中に潜り込んで、目を閉じた。