落雁
今日は土曜日。
心待ちにした、学校が休みの日。
夜たまたま歩いていたら、さかっている女に声を掛けられたので、僕はそれに応えたのを覚えている。
多分、玉の輿か何かでオジサンと結婚して、セックスレスで欲求不満なからだを僕に提供してくれたんだ。
持ちつ持たれつ、の関係。
ちょうど僕も退屈だったし、良い時間だったと思う。お互いに。
大体、僕にはこんな真面目な生活あってないんだ。
そう言う面では、僕も欲求不満だったのかもしれない。
セックスレスというかたちかどうかは分からないけど。
散らばっていたコンドームをゴミ箱に投げ捨てた。
今日は、どうしようかなぁ。
あんなにだるかった熱も下がったし、珍しく好調だ。
そこで、携帯が鳴った。
「もしもし」
『司ぁ?今日、暇しとらんー?』
「あぁ、レイジかぁ」
『おいおい、確認してから出よーぜ』
「僕、誰も登録してないからさぁ」
『ま、いいけど。今日、来れる?』
最近聞きなれたどすの聞いた声よりは若い、棘ついた声が僕の耳を逆撫でる。
甘ったるくて、心地良い女の声とはまったく反対だ。