落雁
「サツには相変わらず見つかってねぇなあ、面白いことに」
「なんか面白いことやってるの?」
「薬」
一瞬、彼が笑ったのかと思った。
主語が無く、いきなりクスリって言うから。
「あぁそう、捕まんないでね」
「すごい羽振りだぜ、こいつは」
「いいよ、ぜんぶきみに任せる。僕は面倒ごとはきらい」
「何いってんだ、お前が1番上なんだから」
レイジは真面目な顔で僕にそう言った。
「ほんとう、やめてよね。僕は組織とかそう言うの、創ったわけじゃないんだから。ただ、僕達みたいな人が、勝手に集まっただけだしね」
それには違いないけど、とレイジは口篭る。
きっと彼は、何か他のものを目指しているんだ。
こんな小さいものでは物足りない、もっともっと上を行って、支配しないと。とでも思っているんだろう。
生憎僕は、そう言う面倒ごとは嫌いだ。
「で?司はどうなの」
レイジはワインを煽りながら、僕を見た。
ちらりちらりと他の奴の視線も感じる。
みんな、どこかで僕に注目しているんだ。あぁ、面倒臭い。
今、高校に通っているよと言ったら、きっと彼達は大笑いするだろう。
皆全員、そういうことを諦めた人たちだから。