落雁
「レイジ、お互いの事には干渉しない。でしょう?」
「あぁ、そうだったな」
「きみも大概、見失ってるように見えるね」
僕がそう言うと、一斉が静まり返る。
「あぁ、そう言う意味で言ったわけじゃないの」
目の前のレイジも、僕の言葉を冗談とは思って居なさそうな顔をしていた。
血の気が引いている。
「嫌だなぁ、僕とレイジが1番長い付き合いだって、みんなも知ってるでしょう?」
フォローを入れてみるけど、みんな苦笑するばかりだ。
だけどすぐにこの場の雰囲気は取り戻される。
結局みんな、僕の話に聞き耳を立てているんだ。
この場所には、レイジしかいらない気がする。
僕はあまりにも、恐れられている。
べつにみんなと、かわらないことをしていただけなのに。
「…まぁ、とにかく司が元気で居ればそれはいいよ」
「うん、そうだね。お互い元気にいこうよ。あの子、見ない顔だね」
ちらりと僕が目をやった子は、珍しく女の子。
あぁ、とレイジは声を漏らす。
「俺らとそんな変わらない年だよ。捨てられたんだって」
「親?」
「そ」
へぇ、と興味のない声を漏らしてしまった。
僕も大概、この場所には向いていないのかもしれない。