※誘惑危険地帯※


「私には宏貴くんがいるから…」



誠は黙って私を見つめた。

私はそれに絶えれず目をそらした。



誠は少し黙ったあと

「そんなに宏貴のことが好きなのか?」


と、私に悲しい表情で
問いかけてきた。


私はすぐには答えれなかった。

宏貴くんはすごく好きだよ。
でも…


私の中でその言葉を拒む私がいた。


「…どうなんだ?」


誠が問いかけてくる。


「私は…」

誠の目を見た。

「宏貴くんが好きだよ」

なぜか笑顔で言ってしまった




「そか…」




誠は悲しい表情で下を見た



床の上に雫がたれている



「誠?」


私はびっくりした。
誠があの誠が泣いている。

「ちょ、どーしたの?!」



「俺…」
「うん…」

ごくり。息を呑む。


「宏貴よりはやく梨々香に告ってれば
俺にも勝ち目あったのかな」


初めて見せた誠の涙。

「え…」


「俺、心の底から
お前が本当に好きだった…」


初めて同じ目線から言ってくれた言葉。








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