相思花
道場を後にして向かったのは、先程沖田さんが鬼さんと呼んでいた人の部屋。
「生川です、少しいいですか?」
戸の前で声をかけると、眠そうな声が返ってくる。
「入れ。」
「失礼します……すみません、お仕事中でしたか?」
部屋の主、土方歳三さんは文机に肘をつき書状とにらめっこをしていた。
これは徹夜三日目くらいかな……
目の下に出来た隈からは連日連夜仕事に追われているのが容易に想像できる。
「いや、構わない。何か用か?」
この調子だと、やっぱりご飯もまともに食べてないよね。
少しは休憩しないと体に悪いよ。
「少し食べませんか?
作り過ぎちゃって……」
コトンとお握りの乗ったお皿を側に置く。
そこでようやく土方さんが私の方を向いた。
「食う。」
「どうぞ。」
私の意図を察したのか、お握りに手を伸ばす土方さん。
「この書状、“また”ですか?」
私がそう尋ねると、土方さんは何も言わずに書状を裏返した。
だけど、それは肯定と受けとるには十分な行動。
あの書状は松平容保様に宛てたもので、本来は京の街を守る浪士組の報告書みたいなもの。
でも最近は別の内容で土方さんが度々この書状を書いている。
土方さんも大変ね。
「生川です、少しいいですか?」
戸の前で声をかけると、眠そうな声が返ってくる。
「入れ。」
「失礼します……すみません、お仕事中でしたか?」
部屋の主、土方歳三さんは文机に肘をつき書状とにらめっこをしていた。
これは徹夜三日目くらいかな……
目の下に出来た隈からは連日連夜仕事に追われているのが容易に想像できる。
「いや、構わない。何か用か?」
この調子だと、やっぱりご飯もまともに食べてないよね。
少しは休憩しないと体に悪いよ。
「少し食べませんか?
作り過ぎちゃって……」
コトンとお握りの乗ったお皿を側に置く。
そこでようやく土方さんが私の方を向いた。
「食う。」
「どうぞ。」
私の意図を察したのか、お握りに手を伸ばす土方さん。
「この書状、“また”ですか?」
私がそう尋ねると、土方さんは何も言わずに書状を裏返した。
だけど、それは肯定と受けとるには十分な行動。
あの書状は松平容保様に宛てたもので、本来は京の街を守る浪士組の報告書みたいなもの。
でも最近は別の内容で土方さんが度々この書状を書いている。
土方さんも大変ね。