闇の中の月姫
プロローグ
……感情なんてこの世に必要ある?
私は、「美しい」なんて言葉が大っ嫌いなのよ。
私の容姿は完璧だった。
生まれてからこれまでこの容姿のせいで
何もかもが縛り付けられていた。
私はそれが嫌で逃げてきたのよ。
そして今日も真っ暗な夜の町に
姿を現す”月姫”となる。
「お前はひとりじゃねぇんだ」
夜空に星が瞬く中、そう呟いたのは
私を闇から救ってくれた彼でした―――