幸せの証
悪夢の始まり
「ままぁ、トイレ〜」

スーパーでばったり出会った知り合いの女性と話しこむ母親。その足元で服をひっぱるようにしてすがる少女。

「トイレはあっちよ?もう、一人でいけるわね?」

「ママも!ママも!!」

「ママは大切なお話があるから、一人でいってきなさい。」

「・・・」

母親はついてきてくれないことを悟った少女はしょんぼりしてトイレに向かった。

「もう、うちのこは甘えん坊で―――。」

少女の後姿を見守っていた母親だったが、また話に夢中になり少女から視線を外した。

(トイレ、あっちってどこ??)

きょろきょろしながらトイレを探す少女。

(誰かに聞かなきゃ)

「あの、トイレ、どこ?」

聞いた相手が悪かった。





獣のようなあいつらのせい?
私を一人でトイレにいかせたママのせい?
あいつらに私のせい?

気を失うほどの痛みと激しい恐怖。

13年前の悪夢はそのときだけで終わらなかった。

13年経った今でも、あのときの痛みと恐怖は忘れない。
そして―――憎しみ。
あいつらも、ママも憎かった。
世界中のすべてが憎い!!


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