人形の妹と王子の兄
Prologue 苛める理由はお前の愛情
どこにでもある場所の電車からの
眺めた灰色の世界は
毎日の生きるための義務を果たすだけのもの。
「…お兄さん…」
「いいか、何度も言うが
…学校ではお前は誰とも話すな、俺にも」
「うん…行ってらっしゃい」
毎日聞かされる言葉で耳たこだったの。
もう言わなくたっていいのに、
兄は玄関を出た。
2階の窓から見下ろして、
お兄さんを見送っていると
美麗な彼だけあってとりまきが待機していた。
彼なら学校がとても楽しいのかもしれない。
でも、私はそうじゃなかったから。
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