人形の妹と王子の兄
「…本当だね、ありがとう!」
素直に喜んだり俺を頼ってくれたり、
俺だけに可愛いところ見せてくれる妹が
好きだった。
付き合ってる女より、
愛しいって思ってる。
会計を済まし帰り道の途中小型トラックの
クレープの店に立ち寄る可憐が、
今日のお礼、とは言わず、
「隼人お兄さんは甘いもの好きだったよね、
はいどうぞ」
右手の苺のクレープを渡した。
「お前のは?」
「手持ちのお金じゃ足りなかったの」
絵にかいたような優しい妹を
手離すことなんて考えられねえだろ?