人形の妹と王子の兄

「…本当だね、ありがとう!」

素直に喜んだり俺を頼ってくれたり、

俺だけに可愛いところ見せてくれる妹が

好きだった。

付き合ってる女より、

愛しいって思ってる。


会計を済まし帰り道の途中小型トラックの

クレープの店に立ち寄る可憐が、

今日のお礼、とは言わず、


「隼人お兄さんは甘いもの好きだったよね、

はいどうぞ」

右手の苺のクレープを渡した。

「お前のは?」

「手持ちのお金じゃ足りなかったの」


絵にかいたような優しい妹を

手離すことなんて考えられねえだろ?
< 14 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop