人形の妹と王子の兄
半ば強引のまま学校に連れて行った。
「でも…でも…」
「知ってる。
お前が苛められるってことは…、
けど俺が守ってやるから。
それに圭はいねえし」
「…大丈夫だよ、
苛められても私は気に何てしないから。
お兄さんの人気が下がってしまうの」
初めて妹は俺の手を振り払って
厚いレンズの眼鏡をかけなおす。
「先に行ってるね」
音を立てて崩れていく可憐を
見たくはなかった。
あの日以来…、
こうするしかなかったのだと思ったんだ。