人形の妹と王子の兄
学校の先生しか知らない秘密だけど、

内緒にしてもらっていた。

お兄さんが可哀そうだったから…。


「可憐て名前だったけ。

どこが可憐なんだ?

親バカなんじゃねえの?」

「そうよねっ、ブスに名前なんてブスで十分よ」

苦しさもつらさも感じなくなって、

一日の時間をただ無情で感じていた、

感じるしかなかった。


「ブス金よこせよ」


「は、はい…」


財布を取り出して、

恐る恐るお札を掴もうとした時、

財布ごと盗られて。

「チッ…3千か。

今日はこれで許してやるよ」


「…ありがとうございます」


もう貯金は底をつきそうで、

時給のいいアルバイトがないかと考えているんだ。

こんなブスにできるか分からないけれど、

考えはないわけじゃないの。

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