人形の妹と王子の兄
Episode.4 すれ違いの時間
雑誌には丁寧に書かれているメイクの方法を熟読して、
せっかく初めてのデート、
それに好きな人から誘われて
失敗なんてしたくなかった。
桜色のチークで頬を染めて
爪に可愛いリボン柄のネイルシールを付けて、
ブスなりに頑張ったと思う…。
「圭くん…」
初めてだったの…。
こんなにもドキドキしてしまうなんて…。
そういえば…
何時ごろにどこに待ち合わせも聞いてなかった。
もしかしたらメールに入っているのかもしれない。
そう思って携帯をつけてみたんだけれど、
何も通知はなくて、電話をしてみた。
『…可憐?』
「ごめんね、圭くん…。
何処に待っていればいい?」