人形の妹と王子の兄


『―…ああ、昨日の公園で9時ぐらいに』


そう言った圭くんは通話ボタンを押したの。

途切れるように通話が終わって、

すぐそこの公園だけど10分前にはついておきたかった。


「可憐どこにいくつもりだ」


びく、っと体を震わせてしまって、

あまりに集中していたせいで

部屋が空いていたことに気付かなかったの。


「…えっと…」


言い訳を見つけないと、

圭くんが秘密にしてほしいと言っていたから。
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