人形の妹と王子の兄

―――


新幹線の席の窓際に座って、

山が見えたり海が見えたり、

景色がくるくると変わっていく。


隼人の妹の可憐が今頃なにをしているのかな、

とか俺の我儘で置いてきぼりにしたのに

心配してしまうんだ。

あんなにデートすることを

楽しみにしてくれて嬉しかった。

その反面、傷つけてしまったことがつらかった。


バイブする携帯に

可憐の名前が出てきて、

出られずにいる。

本当はすぐにも出たかった。

けれど、

可憐の中に俺は格好いい俺でいてほしかったから。


富士山が見えそうになったとき、

可笑しなことで電話してきた隼人からまた、
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