人形の妹と王子の兄

「ほら、上着脱げ。

傷あるんだろ…」

「隼人お兄さん、

怪我なんてないよ…」


「…嘘だ。

男子に画びょう刺されてたの見た」


どうしてこんなにも優しく

微笑んでいられるのか。

脱ごうとしない可憐は、


「…隼人お兄さん私…

平気だよ。痛くないもん」

って自分の居場所のくせに、

誕生日に買ってあげた鞄を持って

ピンクのリボンが目立つ白いワンピースに

着替え部屋を出るように、

「おでかけしてくるね」

「どこ行くつもりだ」
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