人形の妹と王子の兄
走って練習に戻った荒木くんを
目で追って、
それから兄に、
「可憐いつもちゃんと断れって言ってるだろ」
「う、うん…
でも、私なんかが決められることじゃなくて」
「お前に告白してるんだから、
お前が決めていいだろ」
軽く小突かれたけれど、
笑ってたお兄さん。
私のお兄さんは高校の今と同じように
女の子たちから王子様として見られていた。
容姿端麗、文武両道で
少女漫画に出てくるヒロインが
恋するような男の子だったの。
「隼人!可憐!」