BLUE HEART
『俺から行くぜ…』
キースが、高いトーンでこちらへ呼び掛けた。
悩むことがなくなった。こちらは、様子を見ろと言われたようなものだからな。
キースと俺との距離は5m弱。
近いとはいえないが、遠いとも言えなかった。
周囲は暗く、家の明かりだけが道を照らす。
時々、笑い声が夜空に響いた。家族団欒、昔憧れた世界がすぐ近くにあることを知った。
余計、自分が今している愚かな行為を嘆きそうになる。
『じゃあ、俺が合図した10秒後に開始でいいか?』
キースが言うが、俺にはそんなこと関係ない。
『どうだっていい、早くかかって来いよ』