BLUE HEART
『ナディ…俺と仕事をするか?』
急に問われて、一瞬何のことか分からなくなった。
元々、この試合が仕事のための腕試しであったことを思い出した。
『すると言ったら、俺はもう逃げられないのだろう』
『あぁ、勿論。その覚悟で俺達は任務に就いている。敵になるようであれば、例え親をも殺すつもりでな』
親を…
殺す覚悟。
俺には覚悟等いらない。
親はもういないから…。
命をかけて守る身内も、もういない。
ただ、心残りはリーフのことで…それだけはどうしても譲れなかった。
親を殺す覚悟など…
本気でする者はいない。
どんなに、会っていなくても…どんなに憎い親でも。
きっと、世界で生きる限り自分の存在を否定できる人間は、いない。