BLUE HEART
近付いた状態で隣りにいられるのは困ったけれど、自分から席を立つ気にはならなかった。
『暑くなんか、なくなるっつうの。ほら…』
そう言うと、キースは首に下げていたペンダントに口付けた。
ペンダントの中央には碧色の石が取り付けられていた。
『あ…風』
俺は声を漏らした。
それも、そのはず。冷たい空気が、俺達のいる林の中まで吹いてきたのだ。
いや、吹いてきたというより…集まってきたというほうが近い。
『秘密の魔法さ。格好良いだろ?』
キースは誇らしげに、ニコリと笑ってみせた。
『子供かよ、お前』
少しでも珠術を学んだ者や、軍学校で学んだ者ならコレが秘密の魔法でないことは明らかだった。
『そんなことねぇよ。弟にコレ見せるとすげぇ喜ぶんだぜ』