恋雫(仮)

控室のひとつに三人は落ち着いた。
「本当にありがとう。助かったわ。私はサトウアイカ。何かお礼をしなくちゃね」
「お礼なんて…」
「いいえ。貴女にはお礼をしなきゃ私の気がすまないわ」
「愛ちゃんは言い出したら聞かないのよ。遠慮なくお礼して貰ってちょうだい。で、あなたのお名前は？私はコウサカマキです。漢字ではこう書くの」
舞姫は少女に一枚の名刺を差し出した。名刺に書かれている名前は香坂舞姫となっている。
「私は松本深結です」
少女は言いながら、取り出した生徒手帳の一頁に名前と読み仮名を書いた。
「マツモトミユウちゃん…ミュウちゃんね」
舞姫と深結が微笑みあっている間、愛歌は着替えを済ませた。