SCANDAL××!!
「こんばんは。
て言うか、さっきぶり」
「あの、成海さん…」
「ん?どうした、リコ?」
「ううん、やっぱり何でもない!
早くご飯食べよう」
チクリ、胸が痛む。
これは罪悪感。
成海さんに対して。
カルテットのファンに対して。
「ねぇ、成海さん」
「ん?」
「わたしも歌手になりたいな〜、なんて…
冗談にも程があるよね」
ふと口にしてしまった言葉だった。
小さい時に憧れていた夢。
今はもう、諦めた夢だった。
そんなわたしの言葉を聞いて、隣を歩いていた成海さんが足を止めた。
つられてわたしも止まると、成海さんは真剣な顔をしてわたしを見ていた。
「な、なーてね!
う、嘘だよ〜!冗談!」
「……………」
「やだ、成海さん本気にしちゃった?」
笑って流そうとしたら、成海さんが真剣な眼差しのまま口を開いた。
「…リコは良い声を持っているよ」
「へ?」
「正直こっちは厳しい世界だから、あんまりリコに来て欲しくない。
でも、リコは良い歌声を持っていることを俺は知ってるし、保証する」
成海さん…
「…あ、ごめん。
ちょっと本気になっちゃったな。
脅かすつもりはなかったんだけど」
気付けばいつもの優しい笑顔の成海さん。
「リコがその気なら、俺は応援するよ」
「ありがとう、成海さん」