SCANDAL××!!



「…あ!」



わたしの視界に入った、見覚えのある缶バッチ。

そのバッチをつけたリュックの持ち主を見ると、これまた知っている人物。


これって奇跡かも…!



「ねぇ、岩田!矢野!」

「桜井じゃん、どした?」

「それって、カルテットだよね?
二人とも好きなの?」

「何言ってんだよ、俺たち軽音でカルテットのコピパンしてるぜ」



そう言って、岩田が後ろに背負っているベースを見せてくれた。


これはもう今しかないんじゃないかな…



「ねぇ、お願い!
わたしともバンド組んでほしいの。
もちろん、カルテットで!」



無言で顔を見合わせる二人に心臓が忙しくなる。



「…お前、何できんの?」

「できない」

「は?」

「楽器はできない…
でも、歌には自身がある!」



成海さんに教えてもらった歌。

ずっと近くで聞いてきたもん。

それに、成海さんが保証してくれた。



「…丁度良いじゃねーか、宏太。
桜井、お前ギターボーカルやれよ」

「へ?!
ぎ、ギターなんて無理だよ!」

「まぁ、いっか。
俺がドラム叩いてやるよ」

「だから、ギターは…!」

「桜井も軽音入れよ。
どーせ、今帰宅部だろ?
軽音でギターやってるやつに教えてもらえよ」

「えええぇぇ…」

「よし、スリーピース結成だな!」



わたし、ギターなんて弾けないよぅ…



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