SCANDAL××!!
「じゃあ、終電あるからわたし先に帰るね」
「うん、気をつけて」
「リコもね」
電車で二駅離れたところに住む由香は、ライブが終わってすぐに帰った。
わたしは地元だから時間に余裕はあって、出待ちというものをしようかな、なんて思っていた。
「あー、ちょうどいいや」
「っ!!?」
後ろから聞こえた声と共に、わたしは後ろから伸びてきた手に腕を掴まれた。
「ちょっと黙ってろよ」
「…っ…」
声からして男の人。
すぐにわたしの背後に身体をつけていて、片手でわたしの口を塞いでいる。
突然の恐怖で、塞がれていなくても声なんか出ない。
「…何してんだ、お前」
そんな恐怖の中、後ろから聞こえた声。
わたしの知っている声だった。
「ちっ、なんだよ成海」
そして、すぐに解放されたわたし。
そんなわたしに気付いた成海さんは、優しく微笑んでくれて、少しだけわたしの心が落ち着いた気がした。
「リコ、こっちおいで。
もう大丈夫だから」
わたしが成海さんに近付くと、成海さんは優しく頭を撫でてくれた。
成海さんの温かい手によって、わたしは恐怖から解放された。