百回目のキス
ふっと、壁のカレンダーに目を見た。
「あれから、ちょうど一年間か。」
「美咲さんは、お見舞い言ってるんですよね?先生の様子は、どうですか?」
「行ってないよ。半年前が最後かな。見舞え行ってるとさー…期待してる私が馬鹿みたいで…」
「美咲さん…」
いづらくなったのか、いや、時間になったからか。
山口くんは、席から立ち上がり。
「じゃー、僕はこれで…」
「あ、そっか。ごめんね。何も用意できなくて。」
「いえ。美咲さん。」
「ん?」
「タバコは控えめに。では、失礼します。」