百回目のキス
大学をでて、大好きな小説家、高野奏思先生に近づきたくて、夢見書店に編集者として、入社して初めて担当になったのが、憧れな高野先生だった。
編集長に聞かされたあと、トイレで泣いたのは昨日のこと。
高野奏思は、売れっ子ファンタジー作家で、映画化されてる作品も多く、今では知らない人はいない。
「えっと…君のことは、碓氷さんって呼んだらいいんだよね?」
「名前で呼んで欲しいです!いや、違う、んです。や。」
恥ずかしー。
「じゃー、美咲ちゃん」
ーキュッ
両手でほっぺを押さえる。
今、穴があったら入りたい。