真白な彼女
私は考えた。
一応、月見里君が冗談で言っているのかまで、考えた。
それは無いだろう。以前にも言ったが、この手の冗談は嫌いなはずだし、月見里君の目が本気だった。
『それで…。』
重い口を開く
『それで…小鳥遊さんはどうなったの?それってもう、2ヶ月前の話なんでしょ?』
『あぁ……もっと早く動くべきだったかもな…。』
月見里君の顔は曇っていた。
『何で今頃になって話したの?』
『最初は余り気に掛けて無かったんだ、そういったトラブルは良く聞く話だし、そもそも正義感を振りかざして、わざわざ介入する事も無いだろうと思って。』
月見里君はバツの悪そうな顔をしている。
月見里君の言っている事は正しい。
厄介事に巻き込まれるのは、誰だって御免だ。
それに、相手を傷つけてしまう事もある。
『昨日、友達から連絡が来たんだ。最近、小鳥遊が連絡を余り取ってない事。連絡しても、忙しいらしく、連絡が返って来ない事が多いらしい。仲の良かった友達から僕が相談されたんだ。』
『なるほど。』
私は頷く。
『白石の言うとおり、恐らく去年の終わりの方は大学に来てないだろうな。』
月見里君は遠い視線を窓に向けて、数秒間、何かを見つめていた。
『ふぅ…。』
ため息と同時に視線を此方に向けて口を開く。
『手伝ってくれないか?』