真白な彼女
私の経験上、帰り道の歩道のど真ん中にぶつかるような障害物は存在しない。
確かに考え事をしながら歩いてはいたがそこまで抜けてるようなキャラ設定は自らに課してはいないと思ってた。
気付けば目の前は真っ黒な壁でした。
私は反射的に謝った。
『ご、ごめんなさい!ちょっと不注意で気付きませんでした!』
対象物を見なくても分かった。
人にぶつかったのだと。
私は相手の顔を伺う前に深々と頭を下げてしまった。
『お嬢ちゃん…顔をあげたまえー』
私は、まず、低く暗い声に少し震えた。
そしてゆっくりと顔を上げた。