真白な彼女
なんだろう。
声もそうだけど…なんというか。
ものすごく顔色が悪い?
いや、そういうのじゃない。
目のクマも気になるけど、その風貌。
お葬式でもあったのかな?
喪服姿にその雰囲気は見事に気味が悪い。
一言で言うなら不吉、凶。
『あ、あのごめんなさい』
とりあえずもう一度あやまってみた。
『あぁ…誰にでも不注意ってもんはあるもんだ。特に気にしなくて良い。お嬢ちゃん、お前が気にしなくてはならないのはぶつかってしまった俺ではなくー。ぶつかってしまった己の事では無いか?それは何故か。お前は俺にぶつかる事によって自らの時間を割いている訳だが。これが何よりも怖い。時は金なり。人が金を精製するための時間は限られている。無限では無い。その貴重な時間を、限られた時間を、お前は勿体無いと思わないか?』