花とミツバチ
1.甘い蜜

1.その背中




好きな人に口説かれて、頷かない人間なんていない。

それが例え、悪いことだと分かっていても。





『藤田、この後…どう?』





ある日の夜、前から好きだった上司にそう囁かれて、タクシーの中で手を握られた飲み会の帰り道。

大人の男女が、二人きり。しかもお酒も入った状態で、何が『どう?』なのか…それを聞くのは野暮な気がした。





『…、』





だから私は小さく頷いて、二人そのままホテルへと向かった。

その日から始まった、この関係。



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