花とミツバチ



(やっぱり男は渋くて格好良い年上…)



そんなことを考えながらパソコンのキーボードを叩き、向けた視線の先には先輩たちと何やら仕事の話をしている様子の梶原課長。



いつも通りの白いワイシャツに、藍色のネクタイが一層その落ち着きを際立たせる。
口元の小さなシワも、39という年齢からすればまだ若く見えるくらい。



(…今日も、左手薬指には銀色の指輪)



いくら好きだからとは言え、不倫するなんてバカだと思う。

奥さんとその子供の気持ちも分かれない、ダメな女。幸せになんてきっとなれない。



けど一度その蜜の甘さを知ってしまった私は、もう元には戻れない。

その甘さが当たり前になって、それ無しでは生きていけなくなる。



もっと、もっと

深みにはまり込んでいく






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