花とミツバチ



「先輩、大丈夫ですか?」

「うん…おかげさまで」

「ならよかった…、!」



体を受け止めることで頭がいっぱいだったのか、最初はなんてことない顔をしていた彼も、その距離につい頬を染める私にはっと気付いたように反応し慌てて手を離した。



「に、荷物落ちちゃいましたね!俺拾います!」

「あ、ううんいいよ。そもそもは私がぼんやりしてたのが悪いんだし」

「いやそもそもは俺がいきなり声かけたから…」



二人そう言いながら段ボールを一つずつ拾って、軽く散らばった中身を箱へ戻す。



(だ…抱き締められた)



事故とはいえ、後ろからぎゅって。

あの人とはまた違う匂いが、感触が、全身を熱くする。



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