花とミツバチ



「そ、そういえば何か用だった?」



そんな熱さをごまかすように問いかければ、千葉くんは段ボールを一つ持ち上げて笑う。



「あ…いや、オフィスから荷物運んでるの見えたんで手伝おうかなって」

「……」



それで、わざわざオフィスを出て…?


(…優しい、なぁ)



「これ、どこまで運ぶんですか?」

「あ…4階の会議室」

「わかりました。じゃあご一緒します」

「…ありがとう」



どういたしまして、と笑う彼に私も段ボールを一つ持ち上げ歩き出す。



(…軽い)



一人で持ち上げていた重みを彼と半分に分け合って、同じ重さを抱える。

そのことに、なんだか心が温かい。



< 102 / 261 >

この作品をシェア

pagetop