花とミツバチ
「そ、そういえば何か用だった?」
そんな熱さをごまかすように問いかければ、千葉くんは段ボールを一つ持ち上げて笑う。
「あ…いや、オフィスから荷物運んでるの見えたんで手伝おうかなって」
「……」
それで、わざわざオフィスを出て…?
(…優しい、なぁ)
「これ、どこまで運ぶんですか?」
「あ…4階の会議室」
「わかりました。じゃあご一緒します」
「…ありがとう」
どういたしまして、と笑う彼に私も段ボールを一つ持ち上げ歩き出す。
(…軽い)
一人で持ち上げていた重みを彼と半分に分け合って、同じ重さを抱える。
そのことに、なんだか心が温かい。