花とミツバチ
「何で曲がるのかなー…」
真っ直ぐを狙ってるはずなんだけど…。
そうボールの穴に指をはめ構えると、不意に後ろから体がくっつけられる感触。
「藤田先輩、体が曲がってるんですよ」
「へ…?」
教えてくれようとしているらしい千葉くんは、後ろからぴったりとくっつき手で体に触れ、私の体の向きを直す。
「!」
「もう少し体を左側に向けて…」
「……」
無意識なのか、至って普通に教えてくれているけれど
体に触れる手が、背中にあたる体が、耳元で囁く低い声が…意識、する。
ドキドキ、してしまう。
「…で、ボールを投げる」
「はっはい!」
言われるがまま投げたボールは、少し曲がりながらもきちんとレーンの中を転がり、パコンッ!そういい音をたてて端のピンを2本倒した。