花とミツバチ
「…あっ」
「?なに?」
「あ、いや…藤田先輩のそういう顔、初めて見たなって」
「……」
言われてみれば、こんな風にはしゃいで笑うことなんて私にすればすごく珍しいこと。
普段そんな機会があるわけもなく、当然会社の人の前では見せたことなどない。
(って…そんなにはしゃいでた?)
指摘されると恥ずかしく、思わず頬を染め手をおろす。
「ご、ごめん…いい歳してはしゃぎすぎだよね」
「いいえ、全然」
けれど彼は、そんな私にもぎゅっと手を握り微笑む。
「そういう姿も、可愛いです」
「……」
ードキ、
ほらまた、一人で鼓動を鳴らしてる。
どうして?恥ずかしい、
だけどそんな自分の気持ちが、嫌いじゃない。
今、二人で過ごすこの時が
楽しくて幸せで
心が奥のほうから、満たされていくのを感じた。