花とミツバチ
彼にゆっくりと近付きながらも、その言葉の意味はわかってる。
(…今日はなし、ってこと)
けどそれをストレートに言ったりするわけではなく、あくまで私の心配をしているような口ぶりをするあたりが、優しいというのか慣れているというか…。
「…?どうした?人の顔じっと見たりして」
「いえ、何でも」
「……」
思わずその顔を眺めてしまっていた私に、今度はその目がこちらをじっと見る。
「…?課長こそ、何ですか?私の顔じっと見たりして」
「いや…相変わらずきつめな顔してると思って」
「なっ!」
「あ、いや悪い意味じゃなくてな?その眉の感じとか、強気な目とか…」
「悪い意味以外に取れないんですけど」
ふてくされたように呟く私に、梶原課長はそっと笑って顔を近付けた。