花とミツバチ
ーバタン、
そうドアが閉じた瞬間、重なる唇。
「…、」
「…ん…、ふ」
会議室の長机に座らせるようにして、その唇は触れては離れ、角度を変えてまた触れる。
絡ませ離れた互いの舌からは、繋がれた糸と熱い吐息が溢れた。
「今夜は残業?」
「……」
いつも通りの、今夜の約束。
残業、そう言えば自然と約束される夜…だけど
『藤田先輩っ』
今の私の頭の中には、ちらついて消えない彼の笑顔。
それを想うと、頷くことは出来ない。