花とミツバチ
「ねーねー千葉くん、そんな動き回ってないでちょっとはゆっくり飲もうよ〜」
「そうそう。注文だとかお酌だとか…そんなのは田中さんにでもやらせておきなって!」
「いや、そういうわけには…」
「はいはい、千葉くんも飲んで飲んで!ビールいけるでしょ?先輩命令!」
「は、ハイ…」
仲良くなるチャンス、と言わんばかりに彼女たちは千葉くんにベタベタとくっついてビールの入ったジョッキを渡す。
千葉くん自身もそれを断りきれるわけもなく、その場に座らされビールを受け取りぐいっと飲んだ。
(そういえば前に相手に迫られることが多いって言ってたっけ…)
まさしくその言葉を本当なのだと教えるかのような光景に、私は苦笑いで運ばれてきたビールを受け取った。