花とミツバチ



…これだけ、か。


彼がくれる甘いキス

優しく段々と激しさを増して、絡む舌と唾液の味。それだけでこの全身は疼く。



(って、私まるで欲求不満みたい…)

一人で考え恥じらい、私も帰ろうと荷物をまとめ始めた…その時



ーガタン、

「…?」



聞こえた物音に、何事かとオフィスのドアを開け廊下を覗く。



「?誰かいるの?」

「……」



すると、そこにいたのは気まずい顔をした千葉くん。
どうやら廊下に積んであった段ボールを倒してしまったらしく、彼は冷や汗をかきながらこちらを見る。


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