花とミツバチ
「課長、セクハラ」
次の瞬間、そう響いた声とともにぐいっと彼と私を引き離す手。
「…?」
「……」
それは離れた席にいたはずの千葉くんで、彼は私と梶原課長の間へぐいぐいと入り込み座る。
「セクハラって…失礼だなー、千葉」
「今のは立派なセクハラですよ!ダメですよ!」
「ほーう?この梶原様にセクハラ疑惑で噛み付くとは…いい度胸だ千葉!ならお前が飲みに付き合え!飲み比べ勝負だ!!」
「いいです!受けて立ちます!」
「へ?ちょっと二人とも…」
よからぬ方向へ向かおうとしている会話に二人を止めようとするものの、千葉くんは私を背中に隠して会話にも入らせてくれない。
(飲み比べ勝負って…千葉くんどう見てもお酒強くなさそうだけど)