花とミツバチ



「…、」



すると不意に、彼は左手で私の目元を隠すように覆った。



「す、すみません」

「?な、何?」

「…さすがに今は酔っ払ってて理性保てないんで、そんなに見つめないでください」

「……」



長い指の隙間から見えるのは、耳まで真っ赤に染めた彼。



(…愛おしい)



そんな想いひとつひとつが、心を掴んで離してくれない。

あの人にも確かに感じていた気持ち

だけど、また少し違う。



求めて、しまう。

その熱を分けてほしいと思う。

彼の抱く愛情を、もっと





「…、」



抑えきれぬ気持ちに、私は目元を覆うその手に触れてそっと顔から外す。



< 155 / 261 >

この作品をシェア

pagetop