花とミツバチ



「お世話になっております!千葉です!」

「あぁ、営業の千葉くんだね。それとそちらが…」

「初めまして、営業部の藤田と申します」

「藤田さんか!今日はわざわざすまなかったね、ぜひ一度直接お話をしたくてね!社長の福井です!」



社長さんは千葉くんには目もくれずこちらを見て、満面の笑みで二重顎をプルプルと揺らしながらムチムチとした手で私の手を握る。



(よかった、これだけ気さくな人ならまだ安心…)

座って、という一言に私たちは再度腰をおろした。



「いやー、こうして見ても美人さんだなぁ!おいくつですか?独身?彼氏は?」

「えっ、えと…」

「あっじゃあ早速ですけど新商品の紹介の方させて頂きますね!」



いきなりの質問攻めに戸惑う私に、千葉くんは自然と会話に割り込んでカタログを広げた。



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