花とミツバチ
「けどさすが社長ってだけあって豪快に入れてくれたね」
「本当…まさしく鶴の一声ですよね!けど先輩、あれって本当ですか?」
「?」
「心の広い人が好み、って」
「んー…まぁ、心の広い人は好きだけど異性に目がくらんで公私混同しちゃうような人は、ちょっと」
「ですよね…よかった。さすがに俺あそこまでの甲斐性はないんで」
はは、と苦笑いする私に彼も安心したように笑う。
「けど本当ありがとうございました!お礼にコーヒーおごります!」
「うん」
そうコーヒーショップへ入ろうとしたその時、突然開いたドアから足元にかけてくる小さな影。
ードンッ!
「わっ!」
「!」
それはどうやら店内から走ってきた小さな女の子だったらしく、その子は私の足へ思い切りぶつかり尻餅をついて転ぶ。