花とミツバチ
「課長は、有休とって家族サービスですか?」
「あぁ、今日実は結婚記念日でさ。たまにはな」
「そうなんですか!じゃああんまり邪魔しちゃうのも悪いんで、俺たちもう行きますね」
「おー、気をつけて帰れよ」
「はーい、失礼します」
千葉くんの会話のおかげで、私に会話をふられることはなく課長たちはその場を歩き出す。
「ばいばいっ、おにーちゃん、おねーちゃん」
「バイバーイ」
歩き出すその後ろ姿。
寄り添うように歩く小さな肩と、ひらひらとこちらに振られる小さな手。
「…ばいばい」
力なく呟いた、一言。