花とミツバチ
「…っ…」
わかってるよ。
浮気をしてるとか、抱かれたとか、何を言っても私は惨めでしかないこと。
バラしてどうなるわけでもない。自分は二番目です、って言ってるようなもの。
それでもそのひとつの家庭を壊そうとしている。そんな私は、なんて醜く汚い。
(…あんな幸せな顔、見たことない)
いつもの優しいだけじゃない、彼女との間にだけ見せる幸せに満ちた笑顔。それだけで充分思い知る。
何度抱かれようと、距離は変わらない。
彼の奥さんはあの人で、私は愛人。越えられない壁がある。どうしようもない。
全て、今まで散々分かっていたけど直視せずにいた現実