花とミツバチ
「?千葉が?」
「はい。取引先の社長さんに藤田先輩のスリーサイズ聞かれて『胸はBくらいしかないと思います』って言い方しちゃって!『そんな言い方ひどい』って泣かせちゃったんです!」
「うわ、お前それはちょっと…」
「千葉くんさすがにひどい!」
「……」
(ごまかして、くれた…)
その言い訳はどうかと思うけど…でも、自分のせいにして誤魔化して。また、優しい姿を知る。
「藤田元気だせ!Bカップも需要あるよ!」
「ほっといてください」
「何だお前、泣くほど胸気にしてるのか。案外可愛いところあるなー」
「本当ですよねぇ」
あはは、と一気に笑顔にあふれるその場
彼の作り出すその空気に、またつられて笑う。
虚しい現実に涙はこぼれて、苦しくて悲しい気持ちが込み上げた。
だけど、不思議とすっきりとした。
断ち切れずにいた想いは、腕に絡んで肌に食い込み傷を残す。
それでも今ようやく、それがほどけた気がした。
絡んだものをひとつひとつ丁寧に外してくれる、その手があるから。