花とミツバチ
10.最後のキス
入社した頃から、およそ4年の恋
彼を好きになったその時には既に輝いていた銀色のしるしを、視界に入れないようにその意味も考えないようにして、逃げてばかりいたけれど
もう、見て見ぬふりはしない。
「創立記念パーティ?」
ある日の午後、突然部長から声をかけられたかと思えば言われたその一言に私は思わず首を傾げ復唱した。
「あぁ。大福商事が毎年この時期に創立記念パーティをしているんだが、今年はそれにうちの会社も呼ばれてな。向こうの社長から『社長さんの出席はもちろん、担当の千葉くんと藤田さんもぜひ』と誘いがあってな」
「……」