花とミツバチ



「…千葉って、時々物凄い嘘を堂々とつくよな…」

「しかもそれが本当っぽく聞こえるから恐ろしい…」



一方その場に残された私と梶原課長は、ざわざわとにぎわうホールの隅を歩く。

ていうか私、酒瓶で人に殴りかかったりしないけど…咄嗟の彼なりの嘘とはいえ、やっぱりどうかと思う内容だ。



「にしてもすごい人だな」

「あの大福商事のパーティですもんね。取引先だけでもどれだけあるのやら…」

「とりあえず飲み物貰ってくるから、藤田はその辺で待ってろ」

「あ…はい、すみません」



そう言って人の中へ消えて行く彼に、私はひと気のない小さなテラスへと出る。




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