花とミツバチ
「どうして、か…何ていうか、藤田の気持ちが分かってたから、かな」
「…?」
「何となくだけど、わかってたよ。藤田は俺に気持ちがあるんだろうなって」
「……」
からかうわけでも見下すように言うわけでもなく、真剣な顔で向き合う声。
「だからこそ手出ししちゃいけないって気持ちももちろんあったけど…触れてみたいって気持ちもあった」
「…で、誘ってみたら私が乗った、と」
「まぁ…そう、だな」
触れてみたい、きっとそれは些細な興味。
けれど、あの時の私には大きすぎる一言で、その気持ちひとつすらも嬉しかった。
幸せだって、感じてしまった。