花とミツバチ



「だからもう、終わりにします」

「……」



小さく告げた私にその目は少し驚いて、けれど予想していたようにそっと笑う。



「理由を聞いても、いい?」





その手をほどく、理由は





「もう何かにを嘘ついたり隠したり…そんな恋はしたくないです」





好きなのに、抱かれる度の罪悪感。

好きなのに、大切なものを見失ってしまう。



彼からも、自分からも、一番大切なものを奪ってる。





「あなたといられたら、それでいいと想ってた。家族の気持ちも考えないで…そんな自分を汚いと今でも思います」





私は自分勝手だから、綺麗事は言えない。

奥さんのために終わりにするなんて、そんな綺麗なことは言えない。



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